東急ハーヴェストクラブ京都鷹峯 /
VIALA annex京都鷹峯
東急ハーヴェストクラブ京都東山 In THE HOTEL HIGASHIYAMA
京都の由緒ある建物や庭園では、昨今、バランスのとれた文化財の保存と活用という観点から予約制を取り入れる動きが増えている。
混み合うことなく丁寧な説明付きで、お茶をいただきながらゆっくり鑑賞ができるところもある。
今回の特集では、予約制だからこそ静かにゆったり過ごせるプレミアムな旅を紹介しよう。
My Harvest
南禅寺界隈の別荘群の中で唯一通年公開されている「無鄰菴」。2020年からは予約制となり、ゆったり落ち着いて見学することができるようになった。
無鄰菴は明治大正の政治家、山縣有朋の別荘として建てられ、庭園、母屋、洋館、茶室で構成されており、非公開部分を除きそのすべてを見ることができる。洋館2階には山縣と伊藤博文らが日露外交について話し合った、無鄰菴会議に使われた部屋があり当時の様子をいまに伝えている。
無鄰菴の中でも山縣の指示で七代目小川治兵衛によって造られた庭園は近代日本庭園の傑作と言われている。その特徴は、理想の風景を石や白い砂で象徴的に表現する枯山水とは対照的に、具象画のような趣があることだという。枯山水は座敷から眺める場合が多いが、無鄰菴の庭園は実際に散策して移りゆく風景を愉しめる。母屋の前から流れを渡り、芝生の空間へ。さらに森に分け入るように次々に展開するストーリーが醍醐味なのだ。
また通常の日本庭園では取り除いてしまう、名もない草花も生かしている。これは山縣自身が「名もなき草花を愛でていた」という感性を現代にも伝えたいと、あえて残しているのだという。
入場料は600円。喫茶付き入場券は抹茶などの飲み物とオリジナルの干菓子、どらやきなどのスイーツを組み合わせて1,600円となっている。また、母屋の2階にある8畳と4畳の部屋は貸し切りが可能なので、家族で仕出しの弁当を頼んで庭園の青もみじを見ながら食事をすることもできる。
重森三玲庭園美術館では、東福寺方丈庭園などの作庭で知られる庭園家、重森三玲の旧宅の書院や庭園、茶室を公開している。ここはかつて吉田神社旧社家だったところで江戸時代に造られた書院(国の登録文化財)なども含めて、昭和18年に三玲が譲り受け、庭園と二つの茶室を作ったという。特に見どころは書院前の庭園で、中央に蓬莱島、東西に方丈、瀛州(えいしゅう)、壷梁(こりょう)の三島を配した力強いイメージの枯山水となっている。
2005年から見学は予約制で午前11時の部、午後2時の部の1日2回、所要時間は約50分間。各回の定員は10人で、予約は前日午後5時までとなっている。館長で重森三玲の孫の重森三明さんの丁寧な解説も付く。例えば書院の前庭は、座敷の床の間の前に座り、畳や障子、縁側などの設えを含めて、その先に広がる庭園を鑑賞するのがおすすめだという。このように館長自らが庭の見方や建物の歴史などを直接説明してくれるのも貴重な体験となるだろう。
東山区にある臨済宗建仁寺派の大本山建仁寺。その塔頭のひとつ両足院では、坐禅をはじめ、写経や書画実演会などさまざまな禅寺体験ができる。
予約制の坐禅体験は、朝の時間帯に行われることが多い。はじめに僧侶から坐禅の目的や座り方の説明のあと、実際に坐禅を組む。最後に法話を聴聞する。
開催場所は日によって異なり、気候の良い日には本堂の前庭に向かって座り、庭を眺めながら座禅を組むことも。イスを用意することもでき、希望がなければ警策で叩くこともないので、気楽に体験することができる。
静の体験としての坐禅に加え、動の体験としての作務(掃除)を組み合わせたコースもある。作務で柱や手すり拭き、庭の掃き掃除などに集中することで瞑想、気づきにつながるという。 悩みごとのある人や人生の節目を迎えた人の参加も多く、体験者からは「気持ちが整理できた」、「リラックスできた」、「いままで知らなかった自分の体が持つ感覚を知った」などの声が聞かれるそうだ。
京都御苑の北、鞍馬口にひっそり佇む禅寺「閑臥庵」。夕暮れどきには建物や境内がライトアップされて美しく幻想的な雰囲気に包まれる。
閑臥庵では江戸時代初期に中国から日本に伝わったと言われる普茶料理を味わうことができる。普茶料理とは、もともと寺の行事の際の慰労会で振る舞われた精進料理のこと。その由来に則り、大皿に盛りつけた料理を、それぞれが取り分けていただく。宇宙を象徴する青、黄、赤、白、黒の五色とはしり、旬、なごりを取り入れた粋な料理が揃い、高タンパク、低カロリーという健康的な内容となっている。
東急ハーヴェストクラブ京都鷹峯の宿泊プランとしてもご案内しており、ご利用いただいた会員様からは「肉や魚は使っていないが満足度が高い」、「知り合いをお連れしたい」などの声が寄せられ、ご好評をいただいている。食後は本堂の天井画、雲龍図や砂曼荼羅などを見学してみては。また、庭に面したカウンターサロンで食後酒も愉しめるなど大人のプレミアムな京都旅が堪能できる。
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