東急ハーヴェストクラブ南紀田辺
緑豊かな森が海岸線まで迫る急峻な地形の紀伊半島
その森に大量の雨が降り、それが清流となって一気に海に注ぎ込む
だから水が淀まず、透明度の高い川になるという。
「そのまま飲めるようなきれいな水が流れている川は
世界中見ても大変稀で貴重なことなのです」
と話すのはネイチャーフォトグラファーの内山りゅう氏だ。
和歌山の水の美しさに魅せられて、
紀伊半島各地で撮影活動を続ける内山氏に
今回はおすすめの水辺の景色をご紹介いただいた。
My Harvest
●和歌山県東牟婁郡古座川町小川774-1 ※南紀田辺から車で約80分
紀伊半島の南部を流れる日本有数の清流、古座川。その支流にあたる小川(こがわ)に和歌山県指定の天然記念物「滝の拝」がある。
「滝の拝」の特徴は、川の両岸に広がる河原の造形だ。ここは、太古の時代は海底だった場所で、流れる水が砂岩を侵食して神秘的な風景を造りだしたという。河原には、砂岩のくぼみに入り込んだ石が水流で回転しながら周りを削りとった、ポットホールという岩穴も散見される。川を流れる清流は吸い込まれるように青々とし、白い河原と美しいコントラストを描く。実は、内山氏はこの水の美しさに惹かれて、和歌山県への移住を決めたそうだ。
「初夏の滝の拝の水中は陽の光が降り注ぎ、対岸まで見渡せる透明度です。途中にダムや堰がないので、鮎やウナギ、ボウズハゼなど生き物がここまで遡上できるのも珍しいです」(内山氏)。
川の中に滝がある渓流瀑も見どころの一つ。落差8mを清流が流れ落ち、大迫力の光景を生み出す。春は桜、初夏は新緑、秋は紅葉と季節ごとに違った風景を楽しめるのもうれしい。
©️内山 りゅう
●和歌山県田辺市目良19-7(天神崎元島第一駐車場)
※南紀田辺から車で約15分
田辺湾の北側、JR紀伊田辺駅から車で約10分に位置する「天神崎」。美しい海にはりだした岬には森が広がり、岬の周辺は磯に囲まれている。そのため、森と海が一体となって一つの生態系を作る自然環境をもつ。観察できる植物は数百種、シギ、チドリ、アジサシなどの野鳥、ニセクロナマコやウニ、ウメボシイソギンチャクなどの海の生物を観察することができる。
「天神崎は市街地に近接しているにもかかわらず、豊かな自然が残されていることが特徴です。この美しい風景を守ろうと地元の方々によるナショナルトラスト運動の先駆けにもなりました。また、引き潮のときは磯の岩礁に残った水面に夕日の空が鏡のように映り込みます。このボリビアのウユニ塩湖のような風景が見られることが知られて、いまは多くの人が訪れています」(内山氏)。
©️内山 りゅう
●和歌山県田辺市熊野
※南紀田辺から車で約60分
百間山渓谷は、大自然の中で滝と渓谷のパノラマを思いきり満喫できるスポット。渓谷入口から名勝「犬落の滝」まで約1.5kmの道のりに、樹齢500年のウバメガシの巨木をはじめ巨岩、奇岩、大小の滝、澄んだ水を湛える淵など圧巻の風景が次々と現れる。
「ここは深い森に覆われた渓谷美を見ることができる稀少な場所です。歩道も整備されているので、トレッキングもおすすめです。滝も多く、それぞれ違いがあるので見飽きません。滝の飛沫を浴びて、和歌山県の水を直に感じてください。マイナスイオンに包まれて清々しい気持ちになるでしょう」(内山氏)。
清らかな水が身近にある和歌山県。自然がくれたその価値を日本人はもっと感謝しなければならないのではないだろうか。
「水がきれいなことは貴重なことです。そのきれいな水があるからこそ和歌山県の景色、食、温泉、アクティビティなど心に響くものがたくさんあるのです。ぜひご自身でこれらを体験してください」(内山氏)。