東急ハーヴェストクラブ伊東
江戸時代に魂の救済のため弘法大師ゆかりの寺を参拝して巡ったのが始まりと言われるお遍路。
戦後、お遍路の文化は途絶えたものの、四国や知多半島では復活をしている。
実は伊豆半島にも八十八ヶ所の霊場があり、お遍路の文化があったことをご存知だろうか。
本特集では近年復興されて注目を集める伊豆のお遍路の足跡を訪ねる。
My Harvest
お遍路は、自身の努力を見守ってもらえるよう祈願したり、心願成就したのちにお礼参りをするため札所を巡拝したりと、さまざまな方法で愉しめる。各霊場に納札を納め、般若心経を唱えて三宝印(朱印)をもらうのが参拝の作法だ。四国や知多半島とならび、伊豆でも江戸時代から戦前まで続いていたという。伊豆のお遍路は第0番札所の三明寺から始まり、伊豆半島各地に点在する弘法大師ゆかりの寺院や古刹を巡り、88ヶ所目の修禅寺で結願するというもの。戦後途絶えたが、近年、第28番札所の大江院で「伊豆八十八ヶ所納経帳」が発見されたことで掘り起こしが始まった。さらに第6番札所の金剛寺からは明治時代の全札所が彫られている木版も見つかり、こうして伊豆お遍路が復活していったのだ。お遍路と聞くと宗教行事や修行の一環で作法が難しいと思われる方も多いが、実は一般の人たちがおこなってきたもの。旅行のように気軽に楽しむことができるため、巡拝の途中で伊豆の雄大な富士山を望める伊豆パノラマパークの碧テラスに立ち寄るのもおすすめ。
お遍路は、白衣を着て輪袈裟を掛け、菅笠に頭陀袋、手には金剛杖という姿が基本とされているが、歩きやすい服装でも十分。寺院をお参りする際に輪袈裟や輪袈裟風の手ぬぐいを掛けてもよいのだという。寺院では手を合わせて参拝したら、持参した御朱印帳や納経帳に三宝印をもらう。
伊豆のお遍路では、沼津市にある第0番札所の三明寺で輪袈裟と納経帳を購入できる。伊豆霊場振興会のウェブサイトにあるおすすめコースを参考に、何回かに分けて巡ってみてはいかがだろう。必ずしも第1番札所から第88番まで順番に巡らなくてもよく、東急ハーヴェストクラブ伊東からは東林寺や大江院から巡り始めるのもおすすめだ。徒歩はもちろん、電車やバス、自家用車やサイクリングで巡っても構わない。
山や海が近い伊豆のお遍路は大自然の息吹を感じ、由緒ある寺院では歴史も学べる。また、お遍路を地元の方から応援されると、おもてなしの文化に心打たれるだけでなく、自分の価値を見出すことにもつながるのだという。八十八霊場をすべて巡るのは簡単なことではないが、全てを巡り終えたときの自身の心がリセットされ新しい扉が開く感覚はお遍路ならではの体験となるだろう。すべてを回りきるのに期限は設けられていないので、自分のペースで好きなときに寺院を巡ることができる。これを機に伊豆八十八お遍路をライフワークにしてみてはいかがだろう。
» 伊豆霊場振興会のウェブサイトはこちら