東急ハーヴェストクラブ熱海伊豆山/
VIALA annex熱海伊豆山
旅先での出会いは旅の醍醐味の一つ。
その中でも地元の方々との交流は、
そこに住む人だからこそ知っている
土地の歴史や文化、
日常の暮らしの一端に触れられる
貴重な体験となるだろう。
そうした体験を通じて町に魅せられ、
自らが住人になった方が熱海には
数多くいらっしゃるそうだ。
今回は熱海に移住し、
夢を叶えた方を中心に取材。
彼らの目を通して観光スポットではない
熱海の魅力を探っていく。
My Harvest
歴史ある熱海の町が10年ほど前から変わり始めた。昭和時代に栄えたものの、ちょっと寂れた温泉街。そんなイメージだった熱海に、ものづくりや飲食店をやりたい人たちが移住し、おしゃれなショップやカフェなどが次々にオープンして活気が蘇ったのだ。
新居洋子さんも新しい熱海を牽引する一人だ。ベルギーで著名なデザイナー、ベルンハルト・ウィルヘルム氏に師事し、帰国後に熱海を拠点に、洋服のブランド「Eatable of Many Orders(エタブルオブメニーオーダーズ)」と革のブランド「EATABLE(エタブル)」を立ち上げたという。
「最初は単純に海が見えて温泉があるからという理由で、熱海市の多賀の別荘地にアトリエを構えました。ただ、このころはローカルの方とはあまり出会いませんでした。やがて子供が保育園に入って地元との交流が始まると、人の温かさなどさらなる魅力を感じるようになりました」。
さらに熱海に魅了されて2016年には熱海銀座にアトリエを併設した店「EOMO store(イーオーエムオーストア)」をオープン。天然の染料や自然素材を使い、一つ一つ丁寧につくりあげる商品は国内外に多くのファンを持つ。
「熱海の方々はとてもオープンな気質だと感じます。いろいろな旅人が訪れるので、そうしたマインドがないと発展しなかったのかもしれません。熱海に来たらぜひ、地元の方とお話してみてください。新しい出会いや発見があるかもしれませんよ」。
熱海銀座の中ほどに店を構えるイタリアンバール「クアルト」。メインはカウンター5席というこじんまりとした店構えだが、通路を進むと奥にシェア店舗共用のテーブル席6席とベンチがある。店内はカジュアルながら、本格的なハンドドリップコーヒーやエスプレッソ、イタリアンブランドのアルコールが愉しめる。
店主の加藤麻衣さんは、「私は神奈川の新興住宅地出身なので、地元のコミュニティーがある熱海に魅力を感じました。イタリアンバールというスタイルを自分色で作り上げたいという夢と、町で過ごす人たちのホットスポットになりたいという想いを持って6年前にクアルトを開業しました」と話す。
そうした想いが伝わり、地元の方をはじめリゾートマンションに滞在する方、観光で来られた方などがカウンター席に集う。たまたま出会った人と気軽に雑談できる雰囲気もクアルトの魅力だ。ときにはお客さん同士を加藤さんがつないでくれることもある。
「熱海散策の合間に立ち寄られたお客さまに、おすすめのランチを聞かれて説明していると、そこの店主がひょこっとコーヒーを飲みに現れることがよくあります。たまたま隣にいた人と話をして、ライトだけれどちょっとした知り合いができる。これからもそんな場を提供していきたいと思っています」。
イタリア人は自分の行きつけの“ミオバール”を持っているそうだ。クアルトを熱海でのミオバールにしてみてはいかがだろう。
江戸時代から続く老舗干物店「釜鶴」5代目の二見一輝瑠さんが、若い人の魚ばなれを懸念して「Himono Dining かまなり」を出店。料理研究家とともに開発した干物入りコロッケやバーガーなど斬新なメニューで干物料理の可能性を追求している。二見さんは地元民として移住者を応援しており、いまの熱海について「昭和レトロな店の店主や30代のクリエーターなどいろいろなキャラクターが共存しているのが魅力」と話す。
熱海市網代の干物製造店「干物屋ふじま」が、お客様のご意見を聞くために出店した「干物ダイニング yoshi-魚-tei」。料理長は17年前に茨城から移住した小林竜也さんが務めている。小林さんは「地元の人たちが温かく、住めば都、離れられません」と話す。お店の自慢は、店舗限定で塩加減や干し加減を調整した干物や魚料理で、全国31蔵から選んだ料理と相性抜群の地酒も用意する。
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