東急ハーヴェストクラブ浜名湖
ものづくりの町として知られる静岡県浜松市。
実は工業製品だけでなく、温暖な気候と豊かな自然環境が生み出す
農産物を使った食品づくりも古くから行われている。
今回の特集では、伝統製法にこだわった醤油や、
地域に根づく食文化、地元企業の新たな取り組みなど、大人から子供まで
三世代で楽しく学んで、体験して、美味しく食べられる浜松の食を紹介する。
My Harvest
浜松駅から北に車で約30分、小松地区の住宅地の一角に創業明治8年、147年続く老舗の醤油醸造所「明治屋醤油」は佇む。黒壁の3階建ての木造工場は、静岡県の登録有形文化財にも指定されているそうだ。小松地区は天竜川の伏流水に恵まれ、古くから醤油の原料となる大豆や小麦が栽培されており、全盛期には十数軒の醤油醸造所があったという。しかし、いまはここ一軒だけが残る。
「明治屋醤油」を6代目として継ぐ野末将平さんのモットーは、自らの農園で大豆と小麦を栽培し、その大豆と小麦に塩・麹菌を加えて3年寝かせるという醤油造り。手間暇かかる本来の醤油を知ってもらいたいとの思いから、工場見学や体験コース(要予約)を実施している。
工場見学では歴史ある建物の中で、醤油を造る工程の説明を受けながら、実際の様子を見学することができる。高低差を利用して効率よく作業場を配する職人たちの知恵も垣間見える。
搾り体験は、熟成1年半のもろみを布に包んで搾り器に入れ、圧力をかけて醤油を搾りだす。搾り・火入れ体験では、搾りの工程に加え、搾った醤油をアルコールランプで加熱処理し、発酵を止めるとともに香ばしい香りをつける作業を行う。できあがった醤油は小瓶に入れてくれるので、お土産に持って帰ろう。
浜松市北部の山間部、天竜区熊に位置する「道の駅 くんま水車の里」。この周辺は昔、遠州と信州を結ぶ秋葉街道の宿場だったところ。道の駅には物産館、食事処、体験工房、水車小屋などの施設があり、村おこしの中核施設となっている。ここでは昔ながらのこんにゃくづくりや郷土料理の五平餅づくり(要予約)も体験できる。こんにゃくづくり体験では、こんにゃく芋をすりおろして粘りがでるまで練り、さらに“にがり”を加えて手で力強く練る。それを思い思いの形に成形してお湯で40分間煮れば完成。市販のものとは一線を画す、臭みがなく歯切れのよいこんにゃくができあがる。また五平餅づくりでは、半分潰した炊きたてのご飯を球状ににぎり、杉の串に刺して平たい楕円形に形を整え炭火にかざす。表面が乾いたら特製の味噌ダレをたっぷりつけて焼き上げる。ぜひ、地元に伝わる素朴で滋味深い味を食してみよう。
カカオ豆がチョコレートになるまでの一連の工程Bean to Bar体験ができるのが、うなぎパイで知られる春華堂の工場内にある「cacao lab.」だ。Bean to Bar体験では、カカオ豆の皮むきから始まり、カカオ豆を粉砕し、カカオバターや砂糖を加えて混ぜ合わせる。ここで温度を微妙に調整するテンパリングが艶出しの決め手。とろりとしたチョコレートを型に流し、ナッツやドライフルーツをトッピングして冷蔵庫で冷やし固める。最後に銀紙に包んで自作のラベルを貼り、箱詰めして完成!丹精込めたオリジナルチョコレートに感動するにちがいない。体験中はチョコレートの歴史や四大発明、世界のカカオ豆産地なども楽しく学ぶこともできる。
餃子製造機のメーカー、東亜工業が出店した餃子専門店。浜太郎は市内で4店舗を展開しており、2012年にはG-1グランプリを受賞した浜松餃子の定番だ。餃子センターでは、工場併設の店舗で店内からガラス越しに具や皮の工房、成形の工房などを見ることができる。具材の豚肉は全国品評会で一位になった旨味の強い“浜名湖そだち”。キャベツは地元の農家から仕入れた新鮮なものをたっぷり使用し、合成保存料は一切使わない。具を包む皮も自社製造で、厳選した小麦をブレンドして低温度熟成し、もっちりした食感に。店内ではこうした餃子をはじめ、ラーメン類やチャーハン、定食なども食べられるのでランチで利用したい。