東急ハーヴェストクラブ鬼怒川 / VIALA鬼怒川渓翠
栃木県の足尾の山々を水源に群馬県を経て、
やがて茨城県の古河市で利根川に注ぎ込む渡良瀬川。
上流には美しい渓谷が広がるこの川に沿うように走るのが、わたらせ渓谷鐵道だ。
オープンエアのトロッコ列車に乗車して車窓を愉しんだり、
沿線にある足尾銅山の見学や廃線ウォークなど、さまざまなアドベンチャーも体験できる。
今年の夏は、家族三世代が愉しめる清々しい夏の渡良瀬渓谷に出かけてみてはいかがだろう。
My Harvest
群馬県の桐生駅と栃木県の間藤駅間の約44kmを結ぶわたらせ渓谷鐵道。もともとは足尾銅山から産出された銅を運ぶ目的で敷設されたという。
4月〜11月までは大間々(おおまま)駅〜足尾駅間を、休日を中心に1日1往復するトロッコわたらせ渓谷号も走る。この列車はディーゼル機関車にオープンエアのトロッコ車両2両とJRから譲渡された国鉄時代のレトロな客車2両を連結。トロッコ車両内は木製のテーブルとイスが設けられていて指定席に座る。
今回は大間々駅から乗車。ガタンゴトンとリズミカルな線路のジョイント音が心地よい。5分ほど町中を走ると車窓は一変し、緑豊かな山の中へ。神戸(ごうど)駅を過ぎると全長5242mの草木トンネルに入り、車内では天井にイルミネーションが点灯する。沢入(そうり)駅から通洞(つうどう)駅までは沿線で一番美しい景色が見られるところ。無数の白い石が広がる河原を深緑色の水が流れる渓谷美がそこにある。通洞駅は足尾銅山観光の最寄り駅なので途中下車しても愉しい。次がこの列車の終着である足尾駅だ。所要時間は1時間30分ほど。足尾駅から桐生駅へ折り返すこともできるが、路線バスで東武日光駅へ行き、東急ハーヴェストクラブ鬼怒川/VIALA鬼怒川渓翠の最寄りである東武ワールドスクウェア駅へ向かうのもおすすめだ。
わたらせ渓谷鐵道では、40社の路線でオリジナルの「鉄印」を集められる「鉄印帳」を取り扱っている。列車車内と、大間々駅、相老駅、通洞駅の3駅で販売しているので旅の思い出を形に残してみてはいかがだろう。
わたらせ渓谷鐵道の通洞駅から足尾銅山観光までは徒歩5分。足尾銅山は1610年(慶長15年)に発見されてからは江戸幕府直轄に。明治以降は古河市兵衛が民営化し、最盛期には年間6000トン以上、国内生産量の40%以上を採掘する日本一の銅山に成長。栃木県内では宇都宮市に次ぐ人口を抱えるなど隆盛を極めたそうだ。そんな足尾銅山も1973年に閉山。現在は坑内の一部を開放する観光が行われている。
銅山の坑内へはトロッコに乗って入る。少し暗い坑道には岩肌に染み出る地下水が床に滴る。トロッコの終点で降りると、その先に続くのは総延長1200kmにも達する坑道。立ち入りは不可だがサーチライトで奥行を照らしてみるのも愉しい。ここから順路に沿って横道を進むと鉱石採掘の様子が人形で再現されていたり、鉱石から銅(あかがね)になるまでの過程などを展示する銅資料館などを見ることができる。所要時間は約40分ほど。日本の近代化を支えた足尾銅山の歴史や役割を学ぶ貴重な体験になるにちがいない。
わたらせ渓谷鐵道の沿線には、冒険心がくすぐられるスポットが数多くある。神戸駅近くでは、1973年まで利用されていた琴平トンネルを歩く廃線ウォークが愉しめる。緑豊かな山間にひっそりと残された鉄道遺構、眼下に見える清流など冒険気分がそそられるだろう。さらに草木ダムの堰堤下にある水の広場(公園)や落差20mの不動滝、草木湖など景色を愉しみながら歩くことができる。神戸駅から草木ダムまでは約40分。草木湖は、草木ダムの造成によってつくられた湖で湖畔では桜や花桃、新緑、紅葉と四季の美しさも愉しめる。湖の周囲には遊歩道もあり富弘美術館周辺やみかげ原展望地も訪れたいスポットだ。
体験できる施設