東急ハーヴェストクラブ斑尾
長野県では県産ワインを「NAGANO WINE」とし、
世界に向けブランド化を進めている。
県内のワイナリーは「信州ワインバレー」として束ねられ、
さらに北信・東信の「千曲川ワインバレー」、松本〜安曇野の「日本アルプスワインバレー」、
塩尻市の「桔梗ヶ原ワインバレー」、南信の「天竜川ワインバレー」
という4つのエリアに分かれている。
今回は、千曲川ワインバレーの中でも沿線で造られたワインを
車窓の眺めとともに愉しめる長野電鉄の「北信濃ワインバレー列車」を紹介。
秋はブドウの収穫時期。信州でほろ酔い列車旅を満喫しよう。
My Harvest
TEL/026-248-6000(長野電鉄 お客様サポートセンター)
※詳しくはHPをご覧ください
https://www.nagaden-net.co.jp/special/winevalley/
長野駅から湯田中駅間を結ぶ長野電鉄。土日祝日には上下線各1本、観光案内列車「特急ゆけむり〜のんびり号〜」を運行している。車両は元ロマンスカーとして使われていた懐かしい車両で、大きな車窓から信州の山々やブドウ畑、果樹園を眺めつつ、のんびりと70〜80分間をかけて目的地に到着する。
実はこの列車の一部が「北信濃ワインバレー列車」となっており、ワイン好きに人気を博しているのだ。今回は11時20分湯田中駅発→12時30分長野駅着に乗車。指定席ではグラスに注がれた白ワインが出迎えてくれる。さらに車両中央にはワインカウンターが設けられ、北信濃のワイナリーから厳選した6〜8種類のワインとフルーツジュースが飲み放題。受賞歴のある実力派や一般にはなかなか出回らない小規模ワイナリーのものなどワイン通をも唸らせるラインナップだ。併せてランチボックスも付く。湯田中駅発は長野市のイタリアン「L Doppio(エル ドッピオ)」が提供する季節のピンチョス、みゆき卵のフリッタータ、信州豚のロースト、ピザロールやパスタなどがぎっしり。ベストマッチの料理が誘い水となり、ワインリストから次なる一杯を選び始めたくなるだろう。
また、この列車は沿線観光や歴史エピソードを案内する車内アナウンスも名物。途中の小布施駅や村山橋などのビュースポットでは、長めに停車して撮影タイムも設けられている。地元名産品の車内販売も見逃せない。ワインのほろ酔い気分もあいまって、乗車中に目一杯愉しめる特別な列車旅を体験してみてはいかがだろう。
北信濃ワインバレー列車では沿線のワイナリー3〜4軒のワインを常時備えている。その中の一つが、東急ハーヴェストクラブ斑尾から車で約30分の長野県飯綱町にある「サンクゼールの丘」だ。約5万㎡のブドウ畑と醸造所、ショップ、レストランなどを有し、まるでヨーロッパのような雰囲気を醸し出している。
このワイナリーの開設は1990年。フランスの自然とともにある豊かな暮らしや、ワイン造りに誇りを持つ人々、それを愉しむ人々に感銘を受け、その思いがサンクゼールの丘に結実する。
ブドウ畑には樹齢30年を超える木もあり、成熟した木になる実は深くコクのある味わいを持つ。また、千曲川の左岸は粘土質の土壌で、酸味の効いたブドウができるそうだ。こうしたブドウを使った「長野シャルドネ」は昨年、フランス・ブルゴーニュの国際ワインコンクールでトップ10に入賞した実績を持つ。
ワインやジュースに加えて、自社製造のジャムやパスタソース、さらには各地の“うまいもの”を取り扱う久世福商店でお土産を買うのもおすすめ。併設のワイナリーレストランでは、美しいブドウ畑を眺めながらランチコースを愉しめるので、ワインとあわせて贅沢な気分を味わいたい。
北信濃ワインバレー列車では、長野県須坂市の「楠わいなりー」のワインも提供されている。ワイナリーのある日滝原エリアは千曲川右岸にあり、ブドウ栽培に適した気候と扇状地で水はけのよい土壌を生かして、ミネラル感のあるワインが造られている。
オーナーの楠 茂幸さんは、ワイナリー創設にあたってオーストラリアのアデレード大学に留学し、醸造学と栽培の資格を取得。帰国後はブドウ畑の敷地を確保して2004年に苗木を植え始め、2011年にワイナリーを開設した。科学的な知見に基づいた取り組みにより、当時は難しいと言われていたボルドー系ブドウ品種をはじめ、須坂の地で良質なブドウ栽培に成功したのだ。
ワインはブドウの品種特性がしっかり感じられることも特徴で、日本食に合うワイン造りもテーマに掲げている。楠さんは「感性に訴えかけるワイン、グラスに注いだワインの香りを嗅いだときに思わずニッコリしてもらえるようなワインを造りたい」と語る。
ショップでの試飲やショッピングのほか、ブドウ畑の隣に季節の花々が咲き誇るガーデンなど、ワイナリーの雰囲気を丸ごと愉しめる。