未来をつくる古材リノベーション
アップサイクル上諏訪
東急ハーヴェストクラブ蓼科・
蓼科アネックス・蓼科リゾート
諏訪大社の参拝や諏訪湖観光、上諏訪温泉など、人気の観光スポットが集積する諏訪市は、
精密機械工業の一大集積地としても発展してきた。
しかしながら近年は、他地方の例にたがわず空き家も増えていた。
そんな諏訪エリアで、新たなムーブメントが起きている。
そのきっかけは古民家などの解体で廃棄される古材などを買い取って
再販・リノベーションするリビルディングセンタージャパンの開業にあった。
お店を出したい人をサポートしてリノベーションを行う彼らを中心に、
次々と新しいお店がオープンしているのだ。
本特集ではこうした街の記憶を継承しつつ、地元に新たな未来を描く活動にフォーカスする。
My Harvest
2024年12月時点の情報です。
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また、掲載の情報につきましては、今後の社会情勢等により急遽営業の変更や中止となる場合がございます。
いつくしまれてきたものたちを“レスキュー”して未来へつなぐリビルディングセンター
諏訪湖や上諏訪温泉街の最寄りであるJR上諏訪駅。この駅から徒歩約10分にリビセンことリビルディングセンタージャパンがある。諏訪周辺で解体された古民家などから古材や建具、古道具を買い取るリサイクルショップだ。売り場には古材のほか、昔懐かしい茶箪笥や日用品などが所狭しと並べられ、一画にはカフェも併設している。
この店舗を営むのは、建築デザイナーである代表の東野(あずの)唯史さんと奥様の華南子さんだ。以前、諏訪でリノベーション物件に携わった際に、この地を気に入って移住を決意。2016年にリビセンをオープンした。
「リビセンでは買取りのことを“レスキュー”と呼んでいます。それらを再販することで次のユーザーに橋渡しすることが役目だと考えています」。
開業のきっかけは、新婚旅行で米国・ポートランドを訪れた際、建物古材の買い取りと販売を行う“リビルディングセンター”に出合ったこと。それまでも唯史さんは、さまざまな改装で 輸入古材はたくさん使われるのに、日本の古材は捨てられている現状に疑問を感じていたそうだ。そこで日本でも古材のリユース文化を広めたいと思い、帰国後、リビルディングセンターを運営するNPOに連絡。思想を受け継ぐ店舗を開きたいので名称とロゴを使いたいと申し入れたという。
現在は空き家や既存の建物を用途に合わせてレスキューした資材でリノベーションしたり、古材に新たな命を吹き込むアップサイクルにも取り組んでいる。現在はこのエリアを気に入った移住者が経営するカフェ、花屋、レコー ドショップ、本屋などが次々と誕生。四軒長屋をマスターリースし、個店が集まる複合施設「ポータリー」もオープンした。「自分たちが愉しくわくわくできる活動を続けていたら、街づくりと言われることが増えました。ゲストハウスやコワーキングスペースなどもあったらいいな」と華南子さんは話す。
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東野 華南子さん
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- カフェ「live in sense」
- TEL/0266-78-8967
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リビセンの1階には、“感覚と生きる”という意味が込められたカフェ「live in sense」がある。店内のテーブルやイスは、誰かがどこかで大切に使ってきたもの。大きな窓の外にもレスキューされた古材が並べられ、それらを選ぶお客さんや工房で製作に打ち込むスタッフたちの姿が垣間見える。人気はスコーンや自家製のチャイ。「リビセンカレー」や週末限定の「諏訪キーマ」など食事メニューもおいしい。モダン&レトロな空間で一休みはいかが。
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- 01 太養パン店
- TEL/0266-58-0982
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大正5年創業の老舗ベーカリーがコロナ禍の休業中にリビセンにリノベーションを依頼。改装工事には店主の奥村透さんをはじめご家族も総出で参加した。店舗のデザインは「魔女の宅急便」に描かれたパン屋をイメージしたという。いまは東京都内のパン屋で修行した4代目の奥村悠さんが切り盛りする。パンの特徴は、諏訪の良質な仕込み水を使い、伝統的なヨーロッパの製法を取り入れて時間を惜しまずにつくっていること。ハード系パン、調理パンなど約100種類をそろえており、その中でもサバサンドが名物。テラスでイートインも可能で観光客や美ヶ原を目指すライダーたちからも愛されている。
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- 02 olde
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店主は東京、大阪、名古屋などでブライダルのフローリストをしてきた森岡みさとさん。諏訪を訪れてとても気に入り、自分の店を出したいと思っていたタイミングで知人にリビセンの東野さんを紹介されたという。人気の太養パン店の向かいというロケーションも東野さんの提案。「いつでもココにおるで(いるよ)」そんな想いを込めてolde(オルデ)と名付け、花を買うという目的がなくても遊びに行きたくなるような花屋を目指している。店内はカラフルな花を引き立てるため、ナチュラルな色合いで統一されており、古材の建具を利用したディスプレイも特徴的。ブラウンベージュのガーベラ、ダリア、べージュグリーンのバラなどシックでおしゃれな色合いの花も多数そろえている。店の一画には、レコードショップも併設している。
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- 03 生活と芸術の本 言事堂(ことことどう)
- TEL/090-7567-0766
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美術・芸術系の古書を中心に扱う本屋。店主の宮城未来さんが沖縄県那覇市で営んでいた本屋を閉店し新店舗を探していたとき、リビセンの東野さんの「上諏訪で本屋をやってくれる人いませんか?」というSNSを見て出店に至ったという。本は古書のほか、諏訪の旧家から買い取った貴重な郷土史資料や、登山や沖縄関連図書など宮城さんが選書を行った新刊も扱う。店舗は、築110年を超える社交ダンスのドレスショップをリノベーションしたもので、改装には宮城さんも参加。既存の古材をできるだけ活用し、足りない建材はリビセンで手配したそうだ。一画に置かれた薪ストーブが温かみのある空間を演出している。
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- 04 わざマート 諏訪店
- TEL/0268-75-0098
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長野県東御市で展開している「わざマート」の2号店。出店のきっかけは経営者の平田はる香さんが友人のリビセンの東野さんに誘われたことだという。店舗は“さっとよいものが買える店”をコンセプトに、コンビニのような入りやすい雰囲気。平田さんが全国各地で見つけた優れた商品を扱っており、選択基準は「長く使えるもの」「飽きのこないもの」「暮らしに寄り添うもの」「きちんと作られたもの」「環境に配慮したもの」。扱う品目はおにぎりや調味料、酒などの食品をはじめ、日用品、化粧品、衣料品など多岐に及ぶ。縫製会社から出る残糸を再利用した靴下やエコバッグも人気。
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- 地域共創・環境施策の拠点
TENOHA蓼科(東急リゾートタウン蓼科)
- 今年7月、東急リゾートタウン蓼科内に、地域共創・環境施策の拠点となる「TENOHA(テノハ)蓼科」がオープン。タウン内のさまざまな情報を発信するビジターセンターのような役割も担っています。内装や椅子・机などの家具は、すべてタウン内の間伐材や地産材を活用したもの。間伐されたカラマツを再利用したディフューザーやサシェ、お茶などのオリジナル商品「TATESHINA by MORIGURASHI」も販売。石鹸や巣箱作り、オリジナルキーホルダー作りなどのワークショップも開催しておりますので、ぜひお立ち寄りください。