心身を整えるステイ
身体も心も“元気になる”フィンランド式サウナの魅力を第一人者が語る
2024/11/21
全国にサウナ専門施設が次々とオープンするなど、さらに加速しているサウナブーム。2021年の新語・流行語大賞にもノミネートされたサウナ用語「ととのう」も広く知られるようになり、もはやブームではなく文化へと定着しつつあります。サウナの入り方やその魅力、健康効果、そして草津エリアにサウナを作るとしたらどんな施設を造るのか、数々のサウナを全国でプロデユースする“サウナ師匠”秋山大輔氏に話をうかがいました。
本質が伝わったサウナブーム
現在のサウナブームは、サウナの本場、フィンランドのロウリュという、熱した石に水をかけて蒸気を発生させるサウナ浴の方法が広まったことが大きいです。ロウリュはサウナにおけるフィンランドの魂と言われているのですが、日本ではロウリュに馴染みがなく、魂抜きで行われていました。
日本のサウナは高温低湿のハードなサウナが一般的で、我慢比べになることも少なくありませんでしたが、フィンランド式は中温中湿なのでストレスが少なく、無理をしなくていいので初心者でもハードルが低く入ることができます。日本のサウナは二酸化炭素が充満して苦しくなることも多いですが、フィンランドのサウナはドアの下の方が開いていて、新鮮な空気が流れ込むので、20~30分でも快適に入れる工夫がされています。
僕が世界中で見たサウナは、サウナで女子会をしていたり、デートコースになっていたり、おじいちゃんから孫までみんなが一緒に入っていたり、日本とは考え方が全く違っていました。日本でもサウナの本質や入り方が広まったことが、ブームの要因だと思っています。
日本のサウナは高温低湿のハードなサウナが一般的で、我慢比べになることも少なくありませんでしたが、フィンランド式は中温中湿なのでストレスが少なく、無理をしなくていいので初心者でもハードルが低く入ることができます。日本のサウナは二酸化炭素が充満して苦しくなることも多いですが、フィンランドのサウナはドアの下の方が開いていて、新鮮な空気が流れ込むので、20~30分でも快適に入れる工夫がされています。
僕が世界中で見たサウナは、サウナで女子会をしていたり、デートコースになっていたり、おじいちゃんから孫までみんなが一緒に入っていたり、日本とは考え方が全く違っていました。日本でもサウナの本質や入り方が広まったことが、ブームの要因だと思っています。
サウナは元気になれる場所
サウナは元気を回復できる場所です。元気といってもスーパーとかハイパーのような今の自分が持っていない力を導き出すというよりも、元の気に戻るというイメージ。PCのウインドウが多すぎて動きが悪くなるように、人も仕事や生活に負荷がかかりすぎるとストレスが溜まります。サウナに入ってリセットすることで、本来の自分が一番健康な状態、五感が研ぎ澄まされた感覚が戻ってくるのです。
「ととのう」というサウナ用語は、心身ともにスッキリした状態を指します。通常、体がリラックスしていると頭もリラックスするので眠気が来るものですが、サウナでは体はリラックスしているのに頭は冴えている、スポーツ選手でいうゾーンに入っている状態を感じられるのです。
「ととのう」というサウナ用語は、心身ともにスッキリした状態を指します。通常、体がリラックスしていると頭もリラックスするので眠気が来るものですが、サウナでは体はリラックスしているのに頭は冴えている、スポーツ選手でいうゾーンに入っている状態を感じられるのです。
休憩のためのサウナと水風呂
サウナには、サウナに入ること、水風呂に入ること、そして休憩することの3つがセットになっています。特に重要なのは、サウナ4分、水風呂1分、休憩5分というバランスで行うこと。この時間配分が理想的です。サウナと水風呂は、リラックス効果を高めるための準備で、本当のメインは休憩です。これまでの日本では、休憩の大切さがあまり知られておらず、休憩スペースも少なかったので、サウナの本当の良さを味わえない人が多かったのです。
夏と冬で異なる秋山さん流の裏技
僕は夏と冬でサウナの入り方を変えています。“水通し”と“下茹で”と呼んでいるのですが、気温が高くサウナ状態で過ごしている夏は水通しとして最初に水風呂からスタートします。冷水シャワーでもいいのですが、一度水で体を冷やしてあげると、最初のサウナが2セット目のような気分になります。逆に気温が低く水風呂のような状態で過ごしている冬は、下茹でとして先に温泉に入ります。冬に手足が冷え切った状態でサウナに入っても体が温まるまでに20分間くらいかかるため、温泉である程度体を温めてからサウナに入っています。温泉があるサウナならではの入り方なのですがおすすめです。
体調や時間帯でセット数を調整
サウナに入るときに大切なのは、こまめな水分補給と体調に合わせた入り方です。体調や時間帯によって、セット数を変えることもポイント。体調が良くないときは無理をせずセット数を減らすのが基本です。実は、サウナに入るほど“ととのう”感覚が深まると言われており、1セット目より2セット目、2セット目より3セット目の方がリラックス効果が高まります。
特に朝のサウナは、1セットだけで体と頭をスッキリ目覚めさせるのが理想的です。リラックスし過ぎず、仕事前にちょうどよいコンディションに整うことができます。逆に、夜に入る場合は3セット行って副交感神経を活性化させることで、より深い眠りが期待できます。
セットの時間は体調や施設の環境によっても変わりますが、目安としては手足に汗をかき始めたり、「しっかり温まったな」と感じたときが適切なタイミングです。冷たさの異なる水風呂にも心地よく入れるようであれば、その時点でサウナから出るのがベストです。
特に朝のサウナは、1セットだけで体と頭をスッキリ目覚めさせるのが理想的です。リラックスし過ぎず、仕事前にちょうどよいコンディションに整うことができます。逆に、夜に入る場合は3セット行って副交感神経を活性化させることで、より深い眠りが期待できます。
セットの時間は体調や施設の環境によっても変わりますが、目安としては手足に汗をかき始めたり、「しっかり温まったな」と感じたときが適切なタイミングです。冷たさの異なる水風呂にも心地よく入れるようであれば、その時点でサウナから出るのがベストです。
睡眠の質が向上し代謝もアップ
正しい方法でサウナに入ると、睡眠の質が向上します。サウナは「オン」と「オフ」の切り替えを助けるため、眠れなかった人も自然と眠りにつけるようになるのです。私自身、過去に自律神経を崩した経験がありますが、その回復を支えてくれたのがサウナでした。まず眠れるようになり、そこから体調も少しずつ改善していきました。
また、質の良い睡眠が取れるようになると代謝も向上し、痩せやすい体に近づけます。なお、サウナ直後に体重が減るのは、実は汗による一時的な水分減少によるものなので過度な期待は禁物です。
また、質の良い睡眠が取れるようになると代謝も向上し、痩せやすい体に近づけます。なお、サウナ直後に体重が減るのは、実は汗による一時的な水分減少によるものなので過度な期待は禁物です。
草津温泉や四季を楽しめるサウナを造ってみたい
草津にサウナを造るとしたら、草津の温泉を通した湯治的なサウナがいい。温泉を組み合わせることで温泉の効果も得られますし、温泉に浸かって体をリラックスさせながら、精神面の部分はサウナが担う。水道水だとどこでも同じで特別感がありませんが、草津ではその土地の水と温泉を使った特別な体験ができます。忙しい日常を離れ、草津の豊かな自然と向き合ったり、温泉を組み合わせた温冷交代浴で“ととのう”ことによって本当の自分を見つめ直したり。それをラグジュアリーな空間の中でストレスのない形で結びつけてあげる、草津だからこその「心の湯治」を提供したいと思っています。
草津は人生で一回だけ行く場所ではなく、何度も訪れる場所だと思いますので、草津の自然を活かした四季を楽しめるサウナにもしたい。僕のサウナをきっかけに草津に来て、サウナ以外のことも含めて草津を好きになってもらえたら最高です。
草津は人生で一回だけ行く場所ではなく、何度も訪れる場所だと思いますので、草津の自然を活かした四季を楽しめるサウナにもしたい。僕のサウナをきっかけに草津に来て、サウナ以外のことも含めて草津を好きになってもらえたら最高です。
秋山大輔(あきやまだいすけ)
サウナ師匠
イベントを中心とするブランディングプロモーション会社を経営しつつ、プロサウナーとして活動。20代よりサウナに開眼し、世界中の様々なサウナを経験しつつ、サウナの素晴らしさを伝えているうちに“サウナ師匠”と呼ばれるように。2018年に松尾大(ととのえ親方)氏と共にプロサウナー専門ブランド[TTNE]を立ち上げ、全国の行くべきサウナ施設を表彰する「SAUNACHELIN(サウナシュラン)」をスタート。日本サウナのリブランディングやプロデュースを手がけているサウナ界の第一人者。[TTNE]https://ttne.jp/