【唐墨】
今年もまた唐墨の時期がやってきた。
お節のメニューを書き終えると
こいつのことで頭がいっぱいになる。
仕込み始めは、
『わしひとりで仕込むから誰も触るな!』
と意気込んではみたものの
仕込む数の多さか、持久力の無さか・・・
『あとは水口、頼むな』
などと言っている自分が情けない・・・。
一通りの下処理を終えると、写真のように陰干しする。
担当の若い衆はこの時期はきっと気が気ではないのだろう。
風が吹けば
『おやっさん。今日はいい風が吹いてますよ』
とか、天気の良い時などは
『おやっさん!今日はよく乾きそうですね』
など・・・。
いいかげん
『うるさい!!』
と、でかかっては飲みこんで・・。
そんなことを50回ぐらいやっていると、
唐墨の出来上がりが近くなる。
私にとって唐墨の仕込みとは、
精神修養の場なのかもしれない。